2007.5.9

 オーディションとCDドラマ収録な日。

 空いていた。電車内は確かに。

 

 でも、斜め前に座っていたおじさんが、おもむろに立ち上がったかとおもうと、吊り革のバーで懸垂を始めたときはびっくりした。

 しかも、かすかに微笑みながら。

 

 おそらく彼はシラフだったと思う。何度か楽しげに上下したあと、何食わぬ顔をして次の駅で降りていった。

 電車で懸垂するのがいいのか悪いのか、わたしにはよくわからない。電車内のモラル低下が叫ばれている昨今、そりゃあ控えたほうが無難なのだろう。

 

 でもわたしは、なんだかほっこりしてしまった。そのおじさんが、あまりにも平和な、穏やかな笑みをたたえていたから。

 きっといいこと、あったんだろうな。それが傍目にもわかる人って、ときどきいる。ハタと気付くと予想以上にニヤニヤしていたりして、後から思い返すと自分では赤面ものなんだろうけれど。

 

 幸せそうな人って、なんか素敵だ。日々小さなことでクヨクヨしたり、いらいらしてしまうことが多いけれど、ああいう顔を忘れないでいようっておもう。