2005.10.21

 池田昌子さんの語りの会へ。

 毎年恒例になっている、北鎌倉は円覚寺・帰源院での朗読会。16時からの開演ではまだまだ日も落ちておらず、遥か下のほうから横須賀線のゴトゴトいう音がのんびりきこえてきて、とてものどかだ。お天気もよかったから、緑とひなたの匂いがふっくらと香って気持ちがいい。

 やはり雰囲気がグッと出てくるのは、20分の休憩をはさんだ後半からだ。今回の演目は、2作品やってきたいままでとちがい、山本周五郎の「五辧の椿」を前後半にわけていた。クライマックスをむかえる後半には、日もとっぷりと暮れ、障子ごしに聞こえる秋の虫たちの音がすばらしい舞台効果をもたらす。座敷中がピンとはりつめて、ふしぎな緊張感にみちていた。みなが昌子さんの、いや、「おしの」の鬼気迫る覚悟に聴き入っていた。

 お着物は濃紺のつけさげ。鮮やかな椿が描かれていた。前半後半で、髪飾り・半襟・帯をかえ、かわいらしい娘さん風の装いから、きりりと艶やかな雰囲気に変えていたのも見事だった。

 それにしても、あのテンポと表情の豊かさは、素晴らしい。ちょっと体の向きをかえるだけで、誰の台詞かわかる。声色をそれほど変えているわけではないのに。

 

 帰り際、ああさやかちゃん!と手を握って下さった。昌子さんの手は、ふっくらと小さくて、とてもあたたかかった。

 元気をいただきました。がんばります。がんばりますとも!!