2005.8.16

 鎌倉の母校を訪ねた。10年ぶりだ。

 

 わたしがいた頃のおもかげは、もうどこにも残っていない新校舎。真新しい教室、おしゃれな屋上、コンピューターやエレベーターまで完備された、洗練された学校に生まれ変わっていた。

 先生たちは驚くほど昔のまま、すこしもかわっていない。なのに、演劇部のドーランの匂いがした地下倉庫も、お弁当を食べていた非常階段も、校舎裏にあったサルノコシカケも、グラウンドにあって毎年実をつけた銀杏の樹も、ソッと触れただけでたちまち思い出が溢れ出してくるようなもののカケラさえ、そこに見出だせなかったことに愕然とした。

 

 わたしはこんど、我が母校のVPのお手伝いをさせていただく。昔お世話になった先生方が、いまこの仕事をしている私のことを、ちゃんと覚えてて下さったのだ。うれしくてうれしくて、ぜひやらせてくださいと即答した。

 縁はめぐる。こうしてぐるぐると。中学一年から6年間という密度の濃い時間を過ごした旧校舎は、もう存在はしないけど、あのひんやりとした空気や、ぬくもりのあったたたずまいは決して忘れない。あの場所に育まれたからこそ、いまのわたしがあるのだから。

 ありったけの、ありがとうの気持ちをこめて、今度は私が母校にお返しする番だ。