2005.7.26
ナレーション2本の日。
せまりくる台風の予兆のような、不穏な風と雲が頭上を渡っていく。みんなが足早に家路を急いでいる。
でもわたしの中には、昨日聞いたヒグラシの声が、涼やかに響いている。今年初めて耳にした、切なくやわらかいヒグラシの声。
漠然とした不安を抱えているとき、かすかなさみしさを感じたとき、胸の奥から取り出しては、心に響かせる音がある。音楽ではなく、音や声そのもの。ヒグラシもわたしにとっては、そんな大切な音のひとつだ。
灰色の空のした、昨日いれかえたばかりの新鮮なその音色を、くりかえしくりかえし鳴らしながら、家路を辿った。