2004.7.23

 ナレーション2本とアフレコの日。

 

 全ての仕事を終えて、四ツ谷を歩いていると、後ろから賑やかなかけ声がきこえた。振り返るとそれは、3〜4人の韓国人だった。どうもわたしに道を聞いているらしい。

 

 彼らは声が大きく、早口で、にこにこしながらハングルをまくしたてている。どうやら赤坂のホテルまでいきたいようだ。

 

 ここからだと地下鉄かな。そうおもって、by train、などといってみたものの、まったく通じない。通じないどころか、ひとこというと10倍のハングルがかえってくる。ひえ〜。

 はじめは、英語ならなんとか通じるかなと、単語をならべながら四苦八苦していたものの、彼らのマイペースさにだんだん感化されてきたわたしは、気付くとしまいには、日本語を同じように早口でまくしたてていた。

 

 「いや、だからね、ここからだと地下鉄つかったほうが絶対はやいから、ここをまっすぐいくと駅があるから…」

 「〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇!!」「ここまっすぐよ。歩くとすごく時間かかるし、暑いから大変ですよ。3〜40分かかるかも」

 

 はたから見たら、なんともちぐはぐな会話に見えたことだろう。でも、通じているのか通じていないのか全然わからないにもかかわらず、互いに母国語で堂々と話しているその様が、自分のことながらなんだかおもしろく、むしろ清々しささえ感じた。彼らのみせた、言葉が通じないことに戸惑いや苛立ちなどを微塵も感じさせないおおらかさに、わたしは爽快感すらおぼえていた。

 

 結局、「3〜40分」という日本語のみが通じたようで、「それなら余裕で歩けるさ!」(おそらくそんな意味だったとおもう)と笑顔をみせた彼らは、カムサハムニダ!と大きく手を振って去っていった。

 

 声をかけてきたときから額に大粒の汗を光らせていたから、おそらくここまでも相当歩いてきたのだろう。バイタリティーあるなあ。そして、あのくったくのない笑顔!飛んでくるハングルのエネルギーときたら!

 

 暑い中、朝から一日仕事でバテ気味、しかも寝不足で体力を消耗しかけていたわたしだったが、彼らを見送りながら、ちょっと恥ずかしくなった。そして、ひとこともハングルで返せなかったのも、ちょっとくやしかった。今度は、「どういたしまして」くらいは、いえるようにしておこうっと。