2004.6.15

 爪が落ちていた。

 青いグラデーションの、きれいな楕円形。でも、まぎれもなく、爪。

 

 爪を一枚うっかり落とす、というその状況がすごい。わたしはマニキュアや付け爪の類を一切しないので、一瞬ギョッとした。

 

 落とした人は、いまごろさぞびっくりしていることだろう。両手をひろげてみたら、きれいにそろったピカピカの指先が、ひとつだけ消えているなんて!

 

 そのままにしておくのはあまりにもちぐはぐだから、やはり泣く泣く全部はずしたんだろうか。それとも一本だけならと、うまくごまかし続けているのだろうか。外出先で、たとえば、お気に入りの指輪を家に忘れたことに気付いたり、カットソーの飾りビーズがひとつとれてしまったりするだけでも、かなりブルーになってしまうもの。この爪の持ち主は、今頃どんな気持ちでいるのだろう。

 

 体の一部が置き去りにされているような、なんとも切ない気分になりながらも、それを拾い上げる勇気はなく、せめてもの供養にとカメラにおさめて、ソッとその場を去ったのだった…。