2004.6.5

 護国寺にて、お茶会の日。

 お茶会というと、「優雅だねえ」とおもわれがちだが、じつはそうでもない。毎回精魂つかいはたして、帰宅して帯も下着もかなぐりすてるなりベットにバタンと倒れ込む。かなりの体力勝負、それがお茶会なのだ。

 

 6月と9月の2ヵ月は、着る着物の種類が違う。10月から5月まで着る、いちばんポピュラーな袷よりは涼しく、絽や紗といった真夏の薄物よりは生地の厚い、単衣(ひとえ)の時期である。

 袷よりも薄い、といっても着物は着物。この時期の洋装に比べたら、当然あつい。くわえて今日の陽射しといったら!梅雨入り前の最後の恵みとばかりに、見事過ぎる晴天!

 

 そんな中、わたしたちがお手伝いしたお席は、にじり口もある本格的な小間。次々と列をなすお客様たちを案内し、人数を確認してチケットをいただき、お席に入られたら草履を出口に並べ直して、おかえりを待つ。その間も降り注ぐ太陽の下、ただ涼しげな顔でジッと忍耐である。

 

 それでも楽しいと思える理由のひとつは、ありとあらゆる種類の着物や帯がみられること。ひとりとして同じ姿はない。なかでも一際目をひいたのが、黒い絽の名古屋帯に、蛍が2匹飛び交うものだった。

 おもわず、すてきですねえと声をかけてしまったほど。季節を感じさせる、しかもほんの限られた時期にしか身につけられない柄ほど、贅沢で粋だ。

 

 喉の渇きと暑さにすっかり体力を消耗して、いつものお茶会のようにふらふらになりながらも、ああ、今日もいい目の保養ができたなあと、蛍のひっそりとした光を思い返すのだった。