2004.1.28

 PARCO劇場に、「ベント」を観に行く。

 「すてプリ」で共演した、東地宏樹さんが出演されるということで、お誘いを受けたのだ。

 キャストは、椎名桔平さんや篠井英介さんなど、とっても豪華。シリアスなストレートプレイは、去年、美輪さんの「黒とかげ」を観に行って以来だから、期待に胸がふくらむ。

 

 舞台は、ナチス支配下の強制収容所。ユダヤ人よりも迫害され、ひどい扱いを受けていたホモセクシャルの、「愛」の物語。

 愛といっても、そこには、ほのぼのさも、やわらかいあたたかさもない。あるのは人間扱いされない、過酷な現実。

 派手な動きも大仰なセットもなく、淡々と進んでいく舞台は、まるでモノクロ映画を観ているような、不思議な錯覚に陥る。だから、突然けたたましく鳴り響く休憩の合図のサイレンや、鋭く無情な銃声などが、余計にリアルに際立って、ゾクゾクする。

 殴ったりけとばしたりするときに、余計なSEがつかないのも、かえって生々しく、よりいっそう残酷さが伝わってきて、だんだんフィクションなのかノンフィクションなのか、わからなくなってきた。

 それにしても、あんな愛の交し方があるとは…。

 まるで時間差でゆっくり効いてくる薬のように、見終って、時間がたてばたつほど、毛穴からじわじわと何か熱のようなものが浸透していくようだ。密度の濃い、鮮烈な舞台。夜は夢にまで見てしまった。

 愛は、痛く。
 愛は、切ない。

 愛、は。