2004.1.21

 仕事のあと、数年ぶりに、下北沢に降り立つ。

 本多劇場へ、ステップスのミュージカルを観るために。

 ステップスとは、わたしがかつて、「レ・ミゼラブル」と同じくらい魂を捧げていた、「音楽座」というミュージカル劇団の、いまのかたち。
 親会社の不祥事でとばっちりを受け、なんの前ぶれもなく突然解散に追い込まれたあの日の衝撃を、いまでも覚えている。
 たしか、「星の王子様」のツアー中の出来事だった。
 縁とは本当に不思議なもので、仕事関係で新しくつながりができた人が、ひょんなことからステップスの劇団員であることがわかり、たちまち意気投合して、今回、彼女の舞台を観にきたというわけだ。

 ずっとずっと、丁寧にたたんで、こころの奥深くにしまってあった「あの頃」が、圧倒的な切なさと共に、あとからあとからあふれだす。まるで、飛び出すのをまちかまえていたかのように。

 もう、あの頃のメンバーは、まったくといっていいほど残っていない。
 「しゃぼん玉とんだ宇宙までとんだ」や「とってもゴースト」や、「マドモアゼル・モーツァルト」や「泣かないで」を、あの頃のメンバーで観ることは、もうできない。

 けれど。

 わたしの愛した音楽座のひかりは、ちゃんとそこにあった。一歩劇場に足をふみいれた途端、こころが震えた。

 セットも音楽も、脚本も演出も、すべて新しいものなのに、なぜか懐かしさを感じる。やさしい懐かしさが、劇場いっぱいにみちあふれている。

 舞台での彼女たちは、キラキラしていた。何度か現場でご一緒したこともある、昴の役者さんも出ていてびっくり。憧れだった「夢」の舞台に、いまや同じ仕事仲間となった友達が、歌ったり踊ったりしている。全身で楽しそうに演じている。この不思議な感動といったら、ない。

 劇場での3時間ちかく、わたしはまるで高校生に戻ったかのように、ハンカチを握り締め、手が痛くなるくらい、何度も何度も夢中で拍手をおくり続けた。