2003.11.16

 やはり、ない。

 徹底的に掃除をすれば、ぜったい出てくるだろうと思っていたが、そう甘くはなかったらしい。

 やはり、また、間違って捨ててしまったのだろうか。
 それともどこかに落としてしまったのだろうか。
 買ったばかりの、あの指輪。

 この前、京都にいったとき、
なにげなくのぞいたショーウィンドウに見つけた、
繊細な王冠のかたちのリング。

 プラチナに粒ダイヤがひっそりはめ込まれていて、
滅多に自分でアクセサリーを買わないわたしが、
本当にめずらしく、ひとめぼれしてしまったのだ。

 ところが、大切に使いつづけて1週間もたたないうちに
いつも置いていた場所に見当たらないことに気付いたのだ。

 ああ、ショック。

 思えば前にも、バーゲンで買ったばかりのネックレスを
包み紙もろとも、ごみ箱へと突っ込んでしまったことがあったっけ。
 でも、そのときよりも、今回のほうがショックは大きい。

 こういうものも、すべて「縁」だとは思う。
 これだけ切望しても、わたしの目の前にあらわれないということは、
いまのわたしには必要ないということか。
 ああ、思いは募るばかり。
 さしずめ、ふられて相手が去っていってもなお、
忘れられず、あきらめきれない恋人のようだ。

 断ち切れぬおもいを胸に抱えたまま、
あしたも徹底的にさがしてみようと、
心にきめたのだった。