2003.11.10

 わたしは、どちらかときかれたら、断然ネコ派の人間である。

 かといって、犬が嫌いかといえばそうではなく、単に普段あまり付き合いがないだけで、コミュニケーションをとる機会さえあれば、ネコを相手にするとき同様、我を忘れ、時間を忘れる。

 どんな種類もかわいいと思うが、10年以上前にコーギーを初めて見たときの衝撃は、今でも忘れられない。

 

 「おかあさん、さっきね、コリーとダックスフントの混血みたいな犬をみたよっ!!」

 それがれっきとした純血種とまだ知らなかったわたしの第一印象は、かわいそうに。だった。
 かわいそうに。顔だけコリーの面長で、体はダックスフントの遺伝子をまるまる受け継ぐなんて!不敏な子!

 …冷静に考えれば、ばかな話である。でもそのときのわたしはものすごく真剣に「彼」をあわれみ、そんな交配を許した飼い主を憤慨し、それでいてそれらの感情を大きく覆すほど、そんな姿の「彼」がものすごーく愛しくて愛しくてたまらなかったのだ。

 それ以来、街でお散歩している「彼ら」をみると、胸がたまらなくキュンとなる。
 ミニチュアダックスフントも、それはそれで十分かわいいのだけれど、「彼ら」はやはり違うのだ。顔が大きい分のアンバランスさ。これなのだ。

 以前、生後数週間ほどの子犬の「彼ら」を、10匹ほどまとめてワシャワシャ散歩させている場面に遭遇したことがあるが、よくその場で悶絶せずにすんだと思う。しかもそのときの「彼ら」は、みんな色違いのレインコートを着せられていたのだ。
 想像してみてほしい。何度もいうが、一匹でもすぐさま連れ去りたいという衝動を、よくおさえたものだとおもう。

 

 今日、そんな憧れの「彼」と、思う存分たわむれる、すばらしい機会に恵まれた。
 出会いはスタジオ。「パーフェクトチョイス」という番組のナレーションレギュラーが始まったのだが、そこのスタッフさんがいつも連れてくるらしい。その名もプッケちゃん!

 いつも、レギュラーでしばらくお世話になるスタジオでの一回目は、最初が肝心とビシッと緊張して臨むものなのだが、プッケちゃんが無垢な瞳で私に踊りかかってきた瞬間、仕事の顔がきれいさっぱり消え去ってしまったのは、いうまでもない…。

 プッケちゃんのよだれと毛だらけのままブースに入りながら、このスタジオにくる楽しみができたことの小さな幸せをほのぼのした気持ちで噛み締め、プッケちゃんのおかげで跡形もなくなった緊張感を必死にかき集めて、ナレーション原稿をめくるのだった。