2003.9.9

 たとえば、あの人と話したいなあとか、仲良くなりたいなあとか、思えば思うほど、どんどん意識してしまって、自然に言葉がでてこないことってある。

 わたしの場合、それがとても顕著だ。相手が男の人でも女の人でも。

 言葉が宙を上滑り、笑顔も途端にぎこちなくなる。話したいのに話が空回りして、会えてうれしいくせにいたたまれなくて、いっこくも早くその場を離れたい気持ちになり、余計あせってしまう。

 ミュージカルの世界にどっぷりはまっていた学生の頃、よく楽屋の前で好きな役者さんの入り待ちや出待ちをした。(ミーハーだった…)

 そのとき、やっと会えた憧れの女優さんに、結局なにも話しかけることができず、サインを色紙にもらって、お礼をいうだけで精一杯だった。

 彼女が楽屋の中へ消えていくと同時に、身体中の緊張が一気にほぐれて、感激のあまり友達とわんわん泣いてしまったことを、いまでも覚えている。あんまり泣くので、警備員のおじさんが心配して出てきてくれたっけ…。

 あの頃に比べると、きっといまのほうがうまく笑えるし、きっといまのほうがうまく言葉を選べるかもしれない。でも社会生活を送ることにいくら慣れても、そんな不器用さや臆病なところがなくなるわけではなく、むしろますますその存在を自分の中にはっきりと感じることが多い。

 取り繕うことはできるようになっても、本当に弱い部分って、なかなか変えられない。

 もっとうまく、もっと気持ちよく、人とコミュニケーションがとれるようになれたらいいな。

 そんな風に思いつつ、仲良くなりたい人に向かって、「わたしに話しかけたくなる電波」を、遠くからそっと飛ばしてみるわたしであった…(^_^;)